(1)地形面区分

調査地には段丘面、土石流堆積面、崩壊地形などの地形面が分布する(写真3−3−1)。地形面区分図を図3−3−1に示す。地形面区分表を表3−3−1に示す。段丘面はH1面が分布し、H1’−1面とH1’−2面に細分される。土石流堆積面は高位のものから順にF2面、F3面、F4面、F5面、F6面に区分される。F2面とF3面およびF4面は現河床から5〜20mの比高を有し、段丘化している。F5面とF6面は現河床からの比高は1〜3m程度である。F3面はF3−1面とF3−2面およびF3−3面に細分される。F4面はF4−1面とF4−2面とF4−3面とF4−4面に細分される。

写真3−3−1 恵那山断層富田地点 調査地全景

高位段丘1’−1面(H1’−1面)

H1’−1面は幅30〜200m、長さ約2kmの南東−北西方向の地形面で、北西に緩く傾斜する。調査範囲では長さ約500mである。開析され凹凸があるものの、概ね平坦である。現河床からの比高は40〜80mである。

高位段丘1’−2面(H1’−2面)

H1’−2面はH1’−1面を開析した地形面でH1’−1面より2〜3m低い。H1’−1面の周辺に幅50〜80mの規模で断続的に分布する。

土石流堆積面2(F2面)

F2面は調査地東部の大同農道沿いや、調査地南部の姥ヶ洞溜池付近に分布する。大同農道沿いでは幅約50m、長さ約250mの規模で西傾斜の地形面と、幅約200m、長さ約100mの規模で北西傾斜の地形面が分布する。姥ヶ洞溜池付近のF2面は尾根上に分布する幅50〜70mの緩傾斜面である。現河床からの比高は15〜20mである。

土石流堆積面3−1(F3−1面)

F3−1面は富田川と吉田川の間に幅50〜400m、長さ1km以上の規模で分布するほか、調査地中央部から北東部にかけて沢地形に沿って小規模に分布する。富田川と吉田川の間に分布するF3−1面は恵那山断層の南東側(隆起側)にのみ分布し、恵那山断層の北西側(沈降側)では新規の地形面に覆われ分布しない。現河床からの比高は10〜20mである。 

土石流堆積面3−2(F3−2面)

F3−2面は調査地中央部にF3−1面をわずかに開析する地形面である。幅50〜70m、長さ約400mの規模で、西北西−東南東方向に延び、西北西に緩く傾斜する。

土石流堆積面3−3(F3−3面)

F3−3面は調査地中央部付近に恵那山断層の隆起側に幅5〜10m、長さ150〜200mの規模で小分布する。小丘状地形を呈するF3−1面の段丘崖を取り巻くように恵那山断層とほぼ同方向の南西−北東方向に延びる地形面である。

土石流堆積面4−1(F4−1面)

F4−1面は調査地のほぼ中央部に分布するほか、調査地東部の久須田川流域に分布する。調査地中央部では小丘状地形を呈するF3面の周囲を取り囲むように分布するが、より低位の地形面に浸食され、分布は断続的である。恵那山断層の隆起側にのみ分布し、恵那山断層の沈降側では、より低位の地形面に覆われ分布しない。調査地東部の久須田川流域では久須田川右岸に幅約50m、長さ約550mの河成段丘面を形成し分布する。

土石流堆積面4−2(F4−2面)

F4−2面は主に調査地中央部の富田川両岸や吉田川右岸に分布するほか、調査地西部や調査地北東部に小分布する。調査地中央部ではF4−1面を1〜3m開析して分布する。調査地西部では小沢地形に沿って断片的に分布し、調査地北東部では久須田川左岸に小分布する。

土石流堆積面4−3(F4−3面)

F4−3面は調査地のほぼ全域の川や沢に沿って分布する。分布は断片的であることが多い。一部を除いて恵那山断層の隆起側に分布する。

土石流堆積面4−4(F4−4面)

F4−4面は主に調査地中央部の富田川や吉田川流域に分布する。恵那山断層の沈降側に分布することが多くいが、一部恵那山断層を横断して恵那山断層の隆起側にも分布する。

土石流堆積面5(F5面)

F5面は川や沢に沿って調査地全域に分布する。現河床からの比高は2〜3mである。

土石流堆積面6(F6面)

F6面は川や沢に沿って調査地全域に分布する。現河床からの比高は1〜2mである。

崖錘斜面(dt面)

dt面は調査地北東部に、高位段丘面の段丘崖の南西側斜面下方に分布する。