0 まえがき

本報告書は、岐阜県が文部科学省の平成13年度地震関係基礎調査交付金を受けて実施した「屏風山・恵那山断層帯に関する調査」の結果をとりまとめたものである。

岐阜県東濃地域は活断層が多く分布する地域であるが、活動履歴の詳細が不明な断層も多く分布し、地域地震防災上から、内陸地震の起震断層となりうる活断層の活動性の把握が急務である。本調査は岐阜県東濃地域に分布する屏風山・恵那山断層帯の活動履歴を明らかにすることを目的として実施された。

本調査では、手賀野断層、屏風山断層および恵那山断層について、a)地形測量、b)空中写真図化、c)地表精査、d)ピット調査、e)ボーリング調査、f)トレンチ調査、g)年代測定、h)総合解析を実施した。

その結果、以下の結論を得ることができた。

@手賀野断層については、特に北東部(約4.5q区間)はほぼ全線で累積変位を示す断層崖地形が連続し、第四紀後期に活動した可能性が高く、その平均変位速度は中位面形成以降0.1〜0.13m/千年と推定される。南西部では低断層崖や撓曲崖などが高位段丘より新しい地形面に断続的に認められ、平均変位速度は0.02〜0.04m/千年と算出される。

A屏風山断層については、北東部でトレンチ調査を実施したが、約13,000年前の地層の急傾斜現象をめぐり、@断層活動による構造変形による、A洪水流が地形の傾斜に沿って流下し堆積したことによる、という2つの見解が委員会で提案された。南西部については第四紀後期に形成された地形面に変位地形は認められず、少なくとも8万年前以降に活動した形跡は認められない。

B恵那山断層については、北東部でボーリング調査およびトレンチ調査を実施し、逆断層を確認した。活動履歴は約3万年以降に少なくとも4回が読みとれ、最新活動は6,590〜2,250yBPに特定される。南西部については、低断層崖様地形や水系の右横ずれ地形などが一部で認められるものの、大部分の区間では変位地形は認められない。

C蕨平断層、野久保断層、猿投北断層、飯沼断層については、平成11年度における空中写真判読と地表概査にとどまっており、各々活断層研究会(1991)で記載された地形要素は確認されたが、それ以上の情報は得られていない。

本調査は、岐阜県活断層調査委員会に指導を・助言を受けながら、株式会社ダイヤコンサルタントが実施した。

ここに記して感謝の意を表します。

平成14年 3月

岐阜県地域県民部防災危機管理室