中津川市手賀野(Loc.17)では地表踏査(精査)を実施しており,その結果は「3.1.4 地表踏査(精査)」で詳細に記した(図3−1−4−6)。中津川市手賀野地点(Loc.17)における中位段丘面の累積変位量は,M1面で11〜12m,M2面で7〜9m,M3面で4〜5mである。また,M3面を開析し形成された谷底堆積面に比高2〜3mの撓曲崖が認められる。
中津川市深沢(Loc.15)では高位段丘堆積層(H1面相当),中位段丘堆積層(M1面相当),土石流堆積層(F2面,F5面相当)が土岐砂礫層を覆って分布する。本調査では段丘堆積層や土石流堆積層の露頭は確認できなかったが,地形面の分布と土岐砂礫層の分布高度から,段丘堆積層や土石流堆積層の分布を推定した。H1面,M1面,F2面の断層変位地形は現在は中央自動車道が通過するため失われているが,中央自動車道を挟んだ高度不連続は明瞭である。F5面には比高4〜5mの撓曲崖が認められる。
恵那市後田(Loc.14)では断層通過位置の地形は浸食により失われているが,断層を挟んで両側に分布する高位段丘面(H1面)に高度不連続が認められる。
恵那市万場から中津川市青木にかけて低位段丘面(L2面)や土石流堆積面(F1面,F2面,F4面,F5面)に断続的に分布する低断層崖や撓曲崖様の地形は,屏風山断層から分岐する手賀野断層の一部とみられる。恵那市万場では飯沼川の低位段丘面(L2面)に比高2〜3mの撓曲崖様の崖地形が分布する。
手賀野断層の手賀野地点,深沢地点,後田地点で地形断面を作成して,手賀野断層による各段丘面や土石流堆積面の累積変位量を求めた。手賀野地点では各段丘面の累積変位量はM1面で11〜12m,M2面で7〜9m,M3面で4〜5mである(図3−1−5−5,図3−1−5−6)。深沢地点での累積変位量はH1面で22〜23m,M1面で11m,F5面で4〜5mである。(図3−1−5−7,図3−1−5−8)。後田地点ではH1面の累積変位量は6〜7mである(図3−1−5−9,図3−1−5−10)。