1−6−2 手賀野断層

手賀野断層は,「新版 日本の活断層(1991)」によれば,確実度T〜U,活動度B,長さ5q,扇状地面に約10m以下の低断層崖が認められると記載されている。

今回の調査によれば,手賀野断層は,中津川市深沢から中津川市手賀野にかけての約4.5km区間で,高位段丘面(H1面),中位段丘面(M1面,M2面,M3面)の段丘面と,土石流堆積面(F1面,F2面,F4面,F5面)に明瞭な低断層崖が認められる。各段丘面の変位量はH1面で22〜23m,M1面で11〜12m,M2面で7〜9m,M3面で4〜5mであり,累積性が顕著である。段丘の形成年代は,M3面を木曽川泥流堆積物(約5万年前,中村ほか1992)が覆っていることから,5万年+程度と考えられる。その他の段丘面の年代は推定であるが,平均変位速度を求めると,南西部で0.02m/千年,北東部で0.07〜0.12m/千年であると推定される。

一方,同断層南西部に位置する恵那市後田(Loc.14)においてはH1面に6〜7mの高度差しか認められず,上記区間とは累積変位量に明瞭な差が認められる。

また,同断層南西部の中津川市青木から恵那市万場では屏風山断層から分岐したリニアメントが判読され,土石流堆積面(F1面,F2面,F4面,F5面)や段丘面(L2面)に断続的に変位地形が認められる。