6−3−3 単位変位量についての検討

トレンチ調査では、断層によって切られ、かつ断層の両側で連続性が確認できるチャネル堆積物などの地層が分布していなかったので、今年度の調査では単位変位量を得ることはできなかった。

しかし、地表踏査で得られた値として、チャネルの右横ずれの最小の屈曲量は1.5〜2m程度であった。また、断層南東側に分布する微高地の内、計測できた最小の比高は約0.5m以下であった。なお、トレンチ調査地点におけるH5微高地の比高は約0.7mで、チャネルの右横ずれ屈曲量は約3mであった。

平成11年度の調査で得られたこれらのデータが、単位変位量そのものを表しているのかは、今後の詳細な地形調査を要するが、単位変位量を求めていくうえで重要な目安になるものと考える。

なお、平成11年度の調査結果から、平均変位速度や想定マグニチュードを求め、長期予測をすることは時期尚早と考える。

平均変位速度については、今後正確な単位変位量と地震再来間隔を得た時点か、あるいは微地形から断層変位量を求め、それらの微地形の形成年代が判明した時点で検討すべきと考える。

想定マグニチュードは、単位変位量から松田の関係式(式1)を用いて想定マグニチュードを求める方法と、地震断層の長さと地震マグニチュードの松田の関係式(式2)から、想定マグニチュードを求める方法がある。

logl=0.6M−2.9  (地震断層の長さlの単位はkm)……………式1

logl=0.6M−2.9  (地震断層の長さlの単位はkm)……………式2

平成11年度は正確な単位変位量を求めることができなかった。

地震断層の長さからは、平成10年度の調査結果を用いて求めることは可能であるが、1回の地震で活動する範囲が不明なので、単位変位量から求めた想定マグニチュードと合わせて検討する必要がある。したがって、平成11年度は今後の検討課題とする。

以上のような調査結果であるので、平成11年度は牧ヶ洞断層に関する長期予測は行わない。今後の検討課題とする。