しかし、地表踏査で得られた値として、チャネルの右横ずれの最小の屈曲量は1.5〜2m程度であった。また、断層南東側に分布する微高地の内、計測できた最小の比高は約0.5m以下であった。なお、トレンチ調査地点におけるH5微高地の比高は約0.7mで、チャネルの右横ずれ屈曲量は約3mであった。
平成11年度の調査で得られたこれらのデータが、単位変位量そのものを表しているのかは、今後の詳細な地形調査を要するが、単位変位量を求めていくうえで重要な目安になるものと考える。
なお、平成11年度の調査結果から、平均変位速度や想定マグニチュードを求め、長期予測をすることは時期尚早と考える。
平均変位速度については、今後正確な単位変位量と地震再来間隔を得た時点か、あるいは微地形から断層変位量を求め、それらの微地形の形成年代が判明した時点で検討すべきと考える。
想定マグニチュードは、単位変位量から松田の関係式(式1)を用いて想定マグニチュードを求める方法と、地震断層の長さと地震マグニチュードの松田の関係式(式2)から、想定マグニチュードを求める方法がある。
logl=0.6M−2.9 (地震断層の長さlの単位はkm)……………式1
logl=0.6M−2.9 (地震断層の長さlの単位はkm)……………式2
平成11年度は正確な単位変位量を求めることができなかった。
地震断層の長さからは、平成10年度の調査結果を用いて求めることは可能であるが、1回の地震で活動する範囲が不明なので、単位変位量から求めた想定マグニチュードと合わせて検討する必要がある。したがって、平成11年度は今後の検討課題とする。
以上のような調査結果であるので、平成11年度は牧ヶ洞断層に関する長期予測は行わない。今後の検討課題とする。