その結果、 断層露頭が9カ所確認できた。いずれも、基盤岩である濃飛流紋岩類の破砕帯をともなう断層破砕帯である。また、滝ヶ洞山南東斜面を北西から南東へと流れ下るチャネルが、右横ずれオフセットを有しながら屈曲するのが8カ所で確認でき、凹地化した湿地帯も4カ所で確認できた。また、その南東側には分離丘や微高地などの地形的な高まりが8カ所で確認できた。
分離丘や微高地の北西縁、チャネルの屈曲部、凹地化した湿地帯、小盆地南東斜面末端の地形遷緩点、三角末端面は、北東−南西方向にほぼ一直線状に並んでおり、それらは少なくとも850mは連続している。
これらの微地形は、牧ヶ洞断層の活動によって形成された変位地形であることは明らかである。変位地形から推定される牧ヶ洞断層の運動センスは、南東側上がりの右横ずれである。
踏査で確認できたチャネルの最小右横ずれ量は1.5〜2mであった。また、踏査で確認できた二つの微高地の比高は、0.5m以下と0.7m程度であった。露頭におけるスリッケンサイトの条線はE−W方向で20°西上がりであった。