今年度は牧ヶ洞断層の最終活動時期を決定することに目的を絞り、42試料の内11試料を年代測定した(表4−3)。11試料の内訳は、C層から4個、D層から2個、F層から5個である。E層は未測定である。測定は(株)地球科学研究所に依頼した。測定結果を表4−3に示す。なお、測定結果の詳細については巻末資料として添付した。
測定の結果、C−a層からはB.P.1,600〜1,510とB.P.4,305〜4,145の結果を、C−b層からは
B.P.2,935〜2,785.を、C−d層からはB.P.6,790〜6,725を得た。したがって、C層は約6,800年前から堆積し始め、少なくとも1,500年前ぐらいまでは堆積が継続していたといえる。
D−b層からはB.P.18,975〜18,795の、D−c層からはB.P.18,240〜17,985の年代を得た。D層は、18,000年〜19,000年前の堆積物と考えられる。
断層帯の中に挟まれるF−a層からはB.P.6,175〜5,975を、F−c層からはB.P.6,400〜6,290をF−d層からはB.P.5,455〜5,380を得た。F層の年代測定結果はばらつくが、F層自体が様々な地層のブロックがモザイク状に分布する断層帯の堆積物であることから当然の結果ともいえる。
また、断層帯上部に分布するSW面のF−e層からはB.P.675〜660を、NE面のF−j層からは B.P.3,325〜3,070の年代を得た。両者は淡褐色シルトで見かけ上は非常によく似ているが、F−j層のほうがやや締まっていたことからみて妥当である。但し、F−e層のB.P.675〜660の年代値は、F−e層の直上に強腐植質のA−a層が載るためその影響が考えられ、真の年代値であるかは疑問が残る。いずれにせよSW面ではF−e層とその下位のF−d層の年代値にかなりの差が認められ、またNE面でもF−j層とF−c層の年代値にかなりの差が認められること、F−e層、F−j層とも地表面をなすA−a層とほぼ平行に分布していることなどから、F−e層、F−j層とも真に断層帯中の堆積物か、あるいは断層帯であるF層を覆う堆積物であるかは決定できなかった。したがって、断層帯の中に挟まれる地層は、おおむね5,400〜6,400年前程度の堆積物と考えた。
表4−2 14C年代測定用試料採取位置
表4−3 14C年代測定結果