SW面では、各層の境界は不明瞭な部分もあるが、下位から概ねF−a層、F−c層、F−b層、F−d層、F−e層の順に堆積しているようにみえる。上位のF−d層、F−e層は表層土であるA層同様に地表面に平行にごく緩やかに北西に傾斜している。このようなF−d層、F−e層の北西傾斜は、堆積の初生的な構造の可能性が残り、断層変位によるものとは断定できない。一方見かけ上最下位のF−a層はF5断層に沿って延びており、南東に傾斜しているようにみえる。それらの間をなすF−b層、F−c層は、いずれの傾斜とも異なり、ブロック状に分布する。
一方、NE面では、各層の境界は不明瞭な部分もあるが、各層はブロック状のまとまりを持って分布しているようにみえ、堆積の順序は不明である。F4断層に沿って下位からF−b層、F−c層、F−g層の順に分布する。F−g層はE−a層と指交関係にあるようにみえ、その見かけ上上位には、硬質粘土であるF−i層が分布する。F−i層は硬質にもかかわらず横に引き延ばされたような不自然な形状を示す。
F5断層はF−b層の下側から分岐しており、F−b層、F−c層はF4断層とF5断層に挟まれている。F−c層の北西側上部には、間にF−h層を挟んで、F5断層沿いに再びF−b層が分布する。F−h層は、このF−b層とF−c層、F−g層、F−i層の間を埋めるように延びており、全体として上に凸にわん曲する薄層状の複雑な形状を示す。
F−h層の形状やF−b層の分布からみてからみて、F層内部にも断層(F6断層)があると思われる。F−h層はF6断層によって変形し、F6断層に沿って分布していると考えられる。しかし、F6断層も断層面としては認識はできなかった。
最上位のF−j層は表層土であるA−a層同様に地表面に平行にごく緩やかに北西に傾斜している。このようなF−j層の北西傾斜は、断層変位によるものとは断定できず、堆積の初生的な構造の可能性は残る。