全般に腐植質に富み角礫が点在する。腐植の強弱、礫の含有率、礫径、粘土の含有量による層相の違いから4区分した。上位から順に、粘土混じり腐植土のC−a層、角礫混じりのローム質なシルトのC−b層、腐植土のC−c層、腐植質粘土のC−d層である。
・C−a層:粘土混じり腐植土
No.1トレンチSW面のグリッド5.1〜8.6の北西側上部に分布する。A層に覆われ、C−b層もしくはC−d層を覆っている。グリッド5.8〜6.7では、下位のC−b層の屈曲による凹みを埋めている。全体としてグリッド5.8〜7.5にかけて厚くなるレンズ状をなす。
粘土混じりの強腐植土で、礫径1〜3cmの小角礫が点在する。草根、木根はほとんど入っていないことから上位のA層と区別した。黒色を呈する。
なお、同NE面のグリッド6.2〜11.0(NW端)の上部は掘削時に乱されているため詳細な地層区分ができなかった。図4−2−4でC−c層、C−d層とした強腐植土は、一部あるいは全部がC−a層である可能性もある。
・C−b層:ローム質角礫混じりシルト質微細砂〜シルト
No.1トレンチの南東側上部であるSW面のグリッド0.8(SE端)〜6.8および同NE面のグリッド0.9(SE端)〜5.9にのみ分布する。
SW面のグリッド0.8(SE端)〜5.5では、C−a層が分布しないため直接A層に覆われ、E層を覆っている。一方NE面のグリッド0.9(SE端)〜5.9では、掘削時にA層が削り取られているため最上位に位置し、E層を覆っている。全般にややローム質で、シルト質微細砂〜シルトの基質中に礫径3〜8cmの亜角礫〜角礫が混入しており、最大礫径は28cmである。一部腐植分を帯び、暗褐灰色〜茶褐色〜黄褐色を呈する。小角礫は堆積面に並ぶ傾向が認めらる。
SW面のグリッド5.7〜6.1では階段状に屈曲し下がり、グリッド6.1〜6.6ではほぼ水平になるものの、グリッド6.4〜6.6で逆L字に屈曲し,途切れたような端となる。この間はC−a層に覆われ、C−c層および一部C−d層を覆う。角礫混じり粘土混じりシルトで、草根が混入しており、黒褐色〜暗褐灰色を呈する。
上下のA層、E層との境界ではロームの有無、色調の違いに、またC層内の上下のC−a層、C−c層、C−d層との境界では、ロームの有無、腐植の有無、色調の違いに基づいており、いずれも比較的明瞭である。
・C−c層:腐植土
No.1トレンチSW面のグリッド5.5〜6.5に分布し、C−b層に覆われ、C−d層を覆っている。わずかに粘土を含む強腐植土で、礫径1〜3cmの小角礫が点在する。草根が多数入り込み、腐植分を多く含み黒ボク状である。黒色を呈する。上位のC−b層との境界は色調、シルトの含有量の違い、下位のC−d層との境界は粘土の含有量の違いに基づいており、比較的明瞭である。浅いU字状にわん曲しているC−d層の内部を埋めるように堆積しており、C−d層を削り込んだ痕跡は認められない。
なお、同NE面のグリッド6.2〜11.0(NW端)の最上部は掘削時に乱されているため詳細な地層区分ができなかったが、最上位に分布する強腐植土はC−c層の可能性が高い。しかし、一部あるいは全部がC−a層あるいはC−d層の可能性もある。
・C−d層:腐植質粘土
No.1トレンチSW面のグリッド5.8〜11.2(NW端)に分布する。
グリッド5.8〜6.6ではD層とE層およびその境界を覆い、C−c層、一部C−b層に覆われている。薄い地層で全体として浅いU字状をなすが、下位の層をU字状に削り込んだような痕跡は認められない。D層とE層の境界の位置で、C−d層は少し下に垂れ込んでおり、その中に材が揉み込まれている。グリッド6.6〜11.2(NW端)にかけては、部分的に途切れながら分布し、C−a層もしくはA層に覆われ、D層を覆っている。全体として緩やかに南東に傾斜している。最下部に材を挟在する。
強腐植質粘土で、柔らかく粘性が高い。上位のC−a層、A層との境界では粘土の含有量の違い、植物根の有無に、C−c層、C−b層との境界では粘土の含有量の違いに、下位のD層、E層との境界は腐植の有無、色調の違いに基づいており、いずれも比較的明瞭である。
なお、同NE面のグリッド6.2〜11.0(NW端)の最上部は掘削時に乱されているため詳細な地層区分ができなかった。最上位に分布する強腐植土は、一部あるいは全部がC−d層の可能性もある。