5−7−1 概要

江名子断層については,梶田澄雄・石原哲弥(1997),鹿野勘次(1979),活断層研究会(1980),山田直利・足立守・梶田澄雄・原山智・山崎晴雄・豊遙秋(1985)及び活断層研究会(1991)などの研究がある。ただし断層の範囲については,特に南西側への延長についてはそれぞれ異なっているため,ここでは活断層研究会(1991)に示される範囲の断層を江名子断層として取り扱う。

活断層研究会(1991)によると,江名子断層は図5−33に示すように,高山市滝町根方地区より西方に連続し大八賀川を横断し,塩屋町南部・江名子町南部を経て高山市南部を北流する宮川の東側まで達しており,長さ11q,確実度T,活動度B級と評価されている活断層である。

大八賀川より東側では,上宝火砕流からなる東北東−西南西方向の直線的な2本の谷が分布しており,江名子断層はその北側の谷の山脚部を通過する。また大八賀川より西側では,高山市の南東部に分布する丹生川火砕流,江名子礫層などからなる丘陵地とその南側の美濃帯からなる山地が分布しており,江名子断層は丘陵地と山地の境界位置に推定されている。

図5−33 江名子断層分布図(活断層研究会,1991)