5−2−2 空中写真判読結果

1万分の1の空中写真判読結果で認められたリニアメントの明瞭度と分岐より,断層が通過すると想定される区間を,リニアメントの認められない区間を含めて次の6区間に区分して以下に示す。リニアメントについては北東側より番号を付けて仮称で示す。

1) リニアメント1

宮川右岸戸市川沿い約3.5qの下数河から野口まで間に,谷の直線性のみにより長さ2qのリニアメントが認められる。活断層研究会(1991)では野口に分布する段丘に低断層崖を認めているものの,今回の判読では低断層崖に該当するものは認められなかった。

2) リニアメントの認められない区間

宮川左岸谷地区から黒内川下流の黒内までの約3qの区間には,沖積低地,段丘,扇状地が分布するものの,リニアメントは認められない(図5−7参照)。

3) リニアメント2

黒内側上流から脇谷上流部に長さ約2.5qの明瞭なリニアメントが認められる。両河川やその支谷と尾根に系統的な右ずれ屈曲が認められ,屈曲量は最大で約200mとみられる。

4) リニアメント3

増谷上流部に長さ約1.8qの明瞭なリニアメントが認められる。河谷と尾根の右ずれ屈曲が認められるとともに,直線的な谷を形成する。

5) 不鮮明なリニアメント

増谷下流部に長さ0.5〜0.8qと短いリニアメントが山地斜面と高度不連続より3本が認められる。いずれも鮮明さに欠ける。

6) リニアメント4

小鳥川左岸森茂峠に至る谷に,谷の直線性と鞍部の存在から長さ約1.8qのリニアメントが認められる。ただし鮮明さに欠ける。

活断層研究会(1991)によると段丘や扇状地に対して変位を与えている低断層崖が2か所で報告されているものの,今回の空中写真判読結果では認められていない。

図5−7 リニアメントの分布と地形面区分図(縮尺1:50,000)