5−1−4 数河断層の活動性の評価

山麓基部にほぼ連続して分布するリニアメント1と流れ葉スキー場から数河スキー場にかけて分布するリニアメント2は,山地の高度不連続が認められるものの,扇面に対して断層変位を与えている確実な証拠は空中写真判読と現地調査では得られていない。ただし,リニアメント1の西端部約2.5km区間の山地斜面では,高度不連続とともに河谷や尾根の屈曲や截頭谷が認められる。したがって,リニアメント1の西端部を除き,これらのリニアメントは活動間隔が非常に長い,または活動を停止しているものと推定される。

一方,下数河付近に分布するリニアメント3とリニアメント4は,山地斜面の高度不連続の他に,河谷や尾根の屈曲や截頭谷が密に認められる。また,古い扇面上に低断層崖の可能性がある低崖が存在する。このことよりリニアメント3とリニアメント4の位置に活断層の存在が推定される。

リニアメント3の東側延長は,上数河の扇面上で不明瞭となる。また,その西側延長は不明である。リニアメント4はリニアメント1に対して右雁行し,戸市川の直線的な谷の方向を示しているが,その連続性は明確ではない。

以上述べた数河断層の活動性を要約し表5−1に示す

表5−1 数河断層におけるリニアメントの評価

以上の結果,数河断層の活断層として評価される延長は,重複区間を除いて約3.5kmと推定される(図5−5)。

図5−5 活断層図(縮尺1:50,000)