1) 山麓部には三角末端面が連続して分布するものの,山麓に発達する谷部では,崖錐性堆積物が扇面にほぼ連続して分布する。
2) 山麓線より南側,約150〜200mに比高5m程度の低崖が概ね連続するが,崖の基部に水路が築造されており,低断層崖の可能性は低いものと推定される。
3) 空中写真判読により下数河付近で認められた低崖付近は,田畑として少なからず人工改変されており,崖の成因を判断する明確な情報は得られなかった。
神岡町梨ヶ根から数河にかけて船津花崗岩類(Gt)が広く分布している。山田川と戸市川上流の北側山麓斜面では基盤岩類を被覆して扇状地堆積物が広範に分布している。
山田川の北側に分布する扇状地は,段丘化が進み,現河床との比高は最大で50m程度と大きくなっている。また,扇状地面上には小規模の崩壊跡地が認められる。西側のと市川上流の北側に分布する扇状地は,新旧の扇状地が複合し連続して分布する(図5−3)。
リニアメントの分布位置には緩い段差で崖が認められたものの,断層である証拠は得られていない。なお,図5−4の西端付近に分布する基盤の片麻岩中には走向 N85E,傾斜70Sの小規模な破砕帯が確認された。
図5−2 リニアメントの分布と地形面区分図(縮尺1:50,000)
図5−3 変位地形の記載(縮尺1:5,000)
図5−4 地質平面図(縮尺1:10,000)