3−3−2 地震活動

岐阜県北部の最近の地震活動を図3−9(京都大学防災研究所,1998),1977〜1982年の地震活動を図3−10(三雲ほか,1985),及び1975〜1996年の地震活動を図3−11(名古屋大学理学部,1998))に示す。同図による地震活動の特徴を以下に記載する。

@ 図3−9による地震活動の活発な地域は,乗鞍岳から御岳山付近(群発地震)跡津川断層沿い,岐阜県中部地震の余震域,北美濃地震の余震域に見られ,やや活発な地域としては高山市東方から萩原町にマグニチュード3以下の地震が散在するように発生している。高山市東方から萩原町にかけては,江名子断層・宮峠断層・無数河断層・口右道断層・小坂断層などが分布している。これに対して高山市北方にはあまり地震が発生していない。

A 図3−10では観測期間が長いため,上記の地震活動の傾向は顕著になる。特に高山市南東部(江名子断層〜無数河断層の東部)及び小坂断層の南側は,群発地震のような塊状で分布する。この地域の最大級のマグニチュードは3.0〜3.6である(三雲ほか,1985)。跡津川断層と飛騨山脈及び高山市南東方で囲まれた地域では,地震活動は著しく低い。

B 名古屋大学の観測網による地震活動は,図3−11と同様な傾向を示すが,無数河断層付近と小坂断層付近は線状のように配列している。

C 三雲ほか(1985)は,図3−10のマグニチュウード3.0以上の地震について発震機構を検討している。それによると,御岳山南方の地震は横ずれ型と逆断層型が混在し,これ以外の地域ではほとんどが横ずれ型のメカニズムを示す。その最大圧縮応力の方向は一部の局地的乱れを除けば,平均的にほぼ東南東−西北西の方向である。