炭素同位体年代測定の概要を以下に述べる。
(1)年代の計算
14Cの半減期を5、568年とし、14C年代測定値は14C/12C比から求めた値で、1950ADの14C濃度を基準に算出した経過時間である。放射性炭素の場合について経過時間(t)は次式により算出される。
(2)年代値の補正
1)で算出された14C年代値は、1950ADの14C濃度を基準として算出されたものである。しかしながら、大気CO2の14C/12Cが過去も現在も変化しないとしても、大気CO2をとり込む時に試料の種類や環境の違いにより同位体の取り込み方に差が生じる。年代0年の出発点で14C濃度が違っている。これを補正して、より正しい年代値を算出する。算出式は標準物質(PDB標準)の13C/12C比からの試料の13C/12C比の千分偏差(δ13C、‰)で表現する。
(3)暦年への補正
一般的に、14C年代は暦年代と一致しない。これは、大気CO2の14C濃度が現代(1950AD)のそれとは一致しないことや、14C年代計算に用いた半減期(5,568年)が現在最も信頼されている半減期(5,730年)とは違っていることによる。世界各地の樹木を用いて暦年代と14C年代を両軸とする補正曲線が作成されており、これを使用して暦年に補正した。