地表踏査結果によると,阿武隈山地東縁の相馬中村層群と久保間層との境界付近に断層は認められないものの,久保間層が急傾斜を示す撓曲構造が認められる(図4−4,図4−5)。しかし,この撓曲構造は鮮新統の富岡層に不整合に覆われ,富岡層は東傾斜の緩やかな構造を示すことが確認される(図4−6−1, 図4−6−2)。したがって,この撓曲構造の形成時期は久保間層堆積後,富岡層堆積前であり,富岡層堆積以降における活動はないものと判断される。
また,リニアメントは西側の相馬中村層群と東側の仙台層群久保間層との境界に対応しているものの,両者は不整合関係で接していることが確認される(図4−7)。このことから,リニアメントは両側の岩質の差を反映した侵食地形と判断される。