森山トレンチでは断層によって変位を受けない地層と断層によって切られる地層の間に大きな時間差があり、F層堆積以降(LU面形成後)に起こった侵食によって堆積物の多くが失われている可能性が高い。
F層以下の地層では最も新しい地層でも36,500±360y.B.P.を示し年代測定の限界に近い時代に堆積したものがほとんどである。このため、得られた年代値は地層の上下関係とは逆転するものがいくつか見られる。
大笹生トレンチでも地層の上下関係と年代の新旧に逆転がおこっているものが見られるが、このうちC層もしくはD層に見られる極めて新しい年代値は、トレンチ法面の最上位に見られる池底堆積物に近い年代値を示すことから、池が存在していた時期に植物根が砂礫層中まで進入しこれが炭化した可能性が考えられる。