6−5−1 国見町森山地区ピット

1)調査目的

 この地区におけるピット調査は表層堆積物の分布を確認するとともに、断層周辺の地質構造を把握するために行なった。掘削位置は図6−2に示した。

2)調査方法および経過

 このピットは、この地区の南側で行なわれたトレンチ調査や東側で行なったボーリング調査では断層上盤側の地層が一部だけで確認されたに過ぎない。このためこれを補完するためにピット調査を行った。

 掘削は人力で行ない深さ1.5mまで行なった。排水・埋め戻し等も人力で行なった。測量はボーリング地点とともにピット位置の標高のみを求めた。

3)層序の記載

 小型ピットであるため層序区分は行なわなかったが、観察される地層は上位から表層の耕作土、灰色シルト層、黒灰色泥炭層、礫点在砂質シルト層と最下部の礫混じりシルト層である。上部のシルト層と泥炭層および泥炭層と下位の砂質シルト層の地層境界はいずれも乱れている。これは、植物根による攪乱が原因であり堆積構造はほぼ水平であると思われる。ピットの最下部には礫径10cm程度の円礫が含まれ、この中から須恵器の破片が産出した。

4)断層および構造の記載

 ピットそのものには断層面や断層活動による地層の変形は見られない。

5)考察

 このピットの東側で行なわれたボーリング調査で断層の上盤では、基盤岩である軽石質凝灰岩が深度20cmから出現している。従ってこの地点基盤高度が断層付近で高く後背地ではやや低くなっている可能性があり、これは断層付近の変形に伴ったものである可能性が考えられる。