6−4−2 工事手順詳細

工事実施の手順はピット・トレンチとも以下の手順で行なうことを基準とした。

1)調査範囲の決定および用地範囲の確認

 調査実施のための掘削範囲と調査用地の境界確認には、関係する地権者の立ち会いもしくは了解のもとに行なった。

2)調査用地の測量

 調査位置については平板測量を行なった。標高は最寄りの基準点もしくは独立標高点を基準に求めた。また、用水路や水田などを記録するとともに、埋設物については地権者の確認を行ない、公共物については各市町村の関係機関等によって確認を行なった。

3)ピット、トレンチの掘削

・トレンチ掘削に際し、掘削土の保管場所を設定した。

・掘削地が耕作地の場合、調査範囲の耕作土は別途にはぎ取った。掘削土および耕作土は別途に保管した。

・掘削はバックホーによって行ない、細部は人力によった。

・観察する法面の掘削は、トレンチについては60°の傾斜で行ない。ピットにつ いては原 則として60°程度として行なった。

・掘削中もしくは掘削後排水の必要がある場合には排水用のポンプならびに発電機の設置を行なった。

・掘削土は崩壊や雨水による流出のないようシートなどで保護した。

4)法面の整形、グリッドの設置

・掘削した法面は地層の観察が十分にできるように人力にて整形し、必要な場合は小型ポンプ等で水洗いを実施した。

・観察が行なえる状態になった時点で、法面上端水平な基準線をもうけこれから1m間隔の水糸によるグリッドを設置した。グリッドの縦方向は法長とした。

5)法面の地質観察、スケッチ記載、写真撮影

・整形した法面において地層・断層等を詳細に観察し、トレンチでは縮尺1/2 0,ピッ トでは縮尺1/50のスケッチを行なった。

・地質の観察および記載は、肉眼で識別でき所定の縮尺によって図上に表現できるものとし、単層ごとの区分、層相の記載、地層の変形、地層境界の性状、断層、液状化などの 痕跡をスケッチした。

・地層の区分は、基本的に不整合あるいは顕著な削り込みが確認される場合と、明らかな層相の違い(基盤岩など)によって分け、耕作土など人為的な影響 を受けたものも区分することとした。

・スケッチを行なった法面については、写真撮影をおこない主要部分については部分撮影を行なった。

6)年代測定用試料等の採取

・スケッチ終了後、断層の活動時期および活動間隔を検討に必要と判断された地層について年代測定用試料の採取を行なった。

・試料の採取はグリッドの座標を基準として採取位置を記載した。試料は必要量を確保しアルミホイルに包んだうえでビニール袋につめた。

7)トレンチ・ピットの測量

・トレンチの最終段階の形状を平板測量によってもとめ、トレンチ周辺の平板測量図に加えた。

8)埋め戻し、用地の復旧

・トレンチ、ピットの埋め戻しは掘削土を十分に転圧しながら順次埋め戻した。 耕作土については地盤が十分に固まったことを確認した上で行なった。

・用地の復旧後に地権者の立ち会いのもとに、復旧の確認をおこない使用機材等の撤去を 行なった。