4−5−1 反射法データ処理

2次元反射法データ処理は 図4−8 に示されるような流れに従って実施した。処理長は2秒としたが、深部には有意な反射波は認められないため時間の表示は1.5秒まで或いは深度の表示は1.5kmまでとした。以下に各処理について述べる。

(1) フォーマット変換及びデータ編集

 データは全てSEGYフォーマットで取得されているため、データ処理用の内部フォーマットへの変換を行ない、さらに不良トレース等を除去した。

(2) CMP編集

 図4−9−1図4−9−2に示すCMP分布図をもとに、受振測線に出来るだけ近づけるように重合測線を設定した。この重合測線に沿って、CMP間隔を2.5mとし、CMPギャザーはCMPを中心として2.5m(測線方向)×100m(測線と直交方向)の範囲のトレースデータから構成されるようなCMP編集を実施した。なお、図4−10−1図4−10−2は受振・発震点の位置と重合測線の位置を一緒に示したものである。

(3) プレフィルター

 車両などのノイズの低減を図るため、テスト結果に基づきパスバンド10−90Hzの最小位相型帯域通過フィルターを適用した。

(4) 振幅回復

 幾何減衰を補償するために、テスト結果に基づきウインドウ長300msの振幅調整(AGC:Automatic Gain Control) を実施した。

(5) デコンボ゙リューション

 テスト結果に基づきオペレーター長240ms,ウィンドー長1000msのホワイトニングデコンボリューションを実施した。

(6) Floating datum planeへの静補正

 30〜500mのオフセット範囲のデータを用いて改良タイムターム法により表層速度構造を推定した。図4−11−1図4−11−2にその結果を示す。各CMP内の平均標高(floating datum plane)を設定し、この点で受振・発震が行なわれたような補正を実施した。

(7) 速度解析

 定速度重合法により速度解析を行ない、速度プロファイルを作成した。解析は標準的には250m間隔で実施した。速度解析結果については最終記録断面図上に表示した。速度プロファイルを図4−12−1図4−12−2 に測線毎に示す。なお、最深部についてはRMS速度として3700m/sを仮定した。

(8) NMO補正及びミュート

 速度解析により求まった速度関数を用いてNMO補正を実施した。また、NMO後のオフセット距離の大きいトレースで顕著な初動付近の波形歪を除去するために、NMO補正により1.8倍以上に伸びたデータを除去した。これによっても除去しきれない部分については個々にパラメータを設定しミュートを適用した。

(9) 振幅調整

 ウィンドー長100msのAGCにより振幅を調整した。

(10) 残差静補正

 トレース間の相互相関を求め、最大相関値を与えるラグのCMP内の平均値からのずれを誤差と定義し、その誤差を統計的に発震点、受振点の補正値に分離して補正を行なう残差静補正を適用した。

(11) CDP重合

 各CDP内の15〜1000mまでのオフセット範囲のデータを重合した。

(12) バンドパスフィルター

 20−80Hzのパスバンドをもった帯域通過フィルターを適用した。

(13) FDマイグレーション

 差分法マイグレーションを実施した。マイグレーション速度は速度解析結果を水平方向に平滑化したものを使用した。これはマイグレーション記録上に表示した。マイグレーション速度は上記の速度値を90%にしたものを使用した。

(14) トレースミキシング

 時間マイグレーション後の記録に対し、隣り合う3トレースを(0.5,1.0,0.5)の重みで垂直重合した。

(15) 深度変換

 トレースミキシング後の記録に対し、マイグレーション速度を用いて深度に変換した。

(16) 基準面への静補正

 ここまでの処理では時刻ゼロは地表面であり、CMPの平均標高となっていたので、時刻ゼロを基準面( ここでは、0m M.S.L. )に揃えるような標高補正を実施した。

(17) 表示

 各測線の重合記録、時間マイグレーション記録、マイグレーション後の深度記録について白黒の断面図を作成した。また、マイグレーション後の深度記録については、振幅の強さに応じた色づけをしたカラーの断面図も作成した。