4−2 調査地域及び測線

図4−1に調査測線と調査地域の概略図を示す飯坂町周辺をほぼ北東‐南西方向に断層が横切っている可能性があることから、その重要度と作業の可能性および採取データの信頼性などを考慮し2本の測線を決定した。

 今回測線として決定した Line−1, Line−2 は歩道を含めて16 m以上の幅員がある比較的新しい道路で、埋設管は全て歩道下に埋設されている。Line−1 では、道路に隣接する家屋は 1 km の測線長の範囲で6軒と少なく、その他はほとんどがリンゴ畑に囲まれた環境下の市道であるが車両の交通量は比較的少なく、特に休日は大型車両の通行がほとんどないためノイズは抑えられている。しかし、果樹園中に設置された鳥から果実を守るための爆音が周囲で頻繁に鳴るため、当初予想された通りデータにこの音波が混入するケースも見られ、データの取り直しを余儀なくされる場合もあった。

 Line−2 は飯坂町を南西部にバイパスする国道399号線と主要県道で、道路に隣接する家屋は15軒程度、その他は造成中の土地とトンネルである。周囲は宅地造成が進んでおり、朝夕の通勤時間帯と休日の観光車両が増える時を除くと交通量は少ない道路である。

 測線長が短いこと、交通量が少ないこと、家屋が密集していないこと等から比較的障害の少ない、作業環境に恵まれた地域であった。

<測線概要>

・Line−1(測線長:1245 m,Loc.1〜Loc.250)

 北端のLocation を1と定め1200 mを目処に測量を行い、南端を決定した。

Loc.1〜Loc.20は幅4 m程度のアスファルト道路で、中学校関係者と農業従事者が通る程度である。水道管の埋設が確認されているが、影響のないよう可能な限りこれより離して発震した。Loc.21〜Loc.57は幅員10 m程の歩道付き道路となる。水道管は道路東側の歩道下に埋設されているので、これを避けるため西側の歩道に受振器を設置、発震点もこちらに設定した。植え込みがほとんど無いため受振器スタンドを設置した。

 Loc.60付近は県道との交差点となる。これより南側は道路西側に水道管が埋設されているため、受振点・発震点共に道路東側に設定した。南端のLoc.250まで道路両側にリンゴ畑が広がり5〜6件の民家が点在する程度であったため、機器の設置や発震点の選定は容易に行われた。車両の通行は休日ではほとんどないが、平日には大型車の往来が多い。この他、高圧線が測線を横切ったり、鳥から果実を守るための爆発音が頻繁に鳴り響く等データ取得に悪影響を及ぼす条件があった。

 交差点内等により受振器を設置できない受振点は、Loc.21, 22, 59〜61および116の6点となった。また、他の交通の障害となる可能性が考えられる交差点内の予定発震点については発震を避け、交差点に隣接する点ではスタック数を標準の12回から6回に半減して対処した。本測線において発震を取り止めた点は、SP.95(用水路横断のため), SP.21, 59, 61, 115 および 117 の6 点で、SP.55, 57, 63, 119および121の5点についてはスタック数を半減して実施した。

・Line−2(測線長:1150 m,Loc.1〜Loc.231)

 Line−1と同様に北端のLocation を1として赤川の南岸に定め、測線の南端は本測線を横切る小川までとした。道路には上水道管が埋設されている他、一部区間でガス管の埋設も確認された。

 Loc.1〜Loc.44は基本的に歩道の植え込みを利用して受振器を展開した他、部分的にコンクリートとなる場所で受振器スタンドを使用した。Loc.45〜Loc.112はトンネル内となる。幅80 cm程度の管理用歩道に受振器スタンドを使用して設置、車両の通過に伴う風圧で受振器やケーブルが動かぬようテープで固定し、安全対策を施した。Loc.113〜Loc.231は歩道の植え込みを利用する他、民地との境界など極力土の部分に受振器を設置してカップリングを高めるよう設置したが、一部はアスファルト上にスタンドを使用しての設置となった。この区間は道路に隣接して家屋が存在するが、歩道を含めた幅員は16 m以上と広いため、受振器の設置や発震の際に問題は発生しなかった.本道路は国道であるが、朝夕の通勤時間帯と休日を除くと交通量は少ない。 Loc.145付近とLoc.188付近に交差点が存在し、Loc.145, 146 および188の3点が交差点内のため受振器の設置ができなかった。また、Line−1と同様に、他の交通の障害となる可能性が考えられる交差点内の予定発震点については発震を避け、交差点に隣接する点ではスタック数を標準の12回から6回に半減して行う等で対処した。本測線において発震を取り止めた点は、SP.117(地下歩道横断のため), SP.143〜147, 191〜195および 217 の8 点で、SP.55, 57, 63, 119 および 121 の5 点についてスタック数を半減して行った。