(6)天戸川地域調査結果
この地域では、天戸川左岸にLU,V面が分布しこの北側には火砕流堆積物が見られ、山地斜面は花崗岩の分布域となっている。右岸側は吾妻火山からの凝灰角礫岩が広く分布しており、中新世の地層は露出していない。天戸川右岸の水沢付近には1mを超える円〜亜円礫を含む砂礫層、炭化物を含むシルト・砂層によって構成される堆積物が局部的に分布している。この地層は礫優勢で充填物も火砕質であるが、炭化物を多く含むことから高田層に対比した。この地域は北東−南西方向に連続する台山断層の南端部とほぼ南北方向の白津断層の北端部が位置する。断層の活動性に関する根拠は見いだせなかったが、清水付近のLU面には幅50〜100mの間に10mを超える高低差を持つ急斜面が確認される。この急斜面に位置するIw194では巨礫を含む砂礫層が緩やかに傾斜することが観察された(写真3−5)。これは、北側の火砕流堆積面を切る断層崖の延長にあたる。より下位のLV面には断層による変位地形は見られない。