このうち、丘陵地と段丘面の境界となるものは、断層崖としては極めて明瞭なものであるが、断層をはさんで対比される地形面がほとんどないため断層の活動性については十分な資料が得られていない。これに対して、LT面とLU面の境界となるものはLT面の前縁部に明瞭な撓曲崖を形成しており、一部でLU面に派生した断層崖を形成している可能性が高い。この変位地形のうちLT面の撓曲崖は幅100mの範囲で10m程度の落差をもっている。LU面中に見られる段差は1〜4mの落差がある。
地質踏査では、露出条件がさほど良くないことから断層の活動についての直接の資料は得られなかったが、町田(1976)によれは、産ヶ沢左岸のLU面の堆積物中にA−Tn火山灰が含まれることが報告されている。LT面およびLU面を構成する堆積物は最上位にやや粗粒な礫を含むが全体には砂・シルト・細礫の不規則な互層となっている。
周辺の地形・地質条件から精査地質図を、図3−18に万正寺付近で断層が1条となっている地域、図3−20に睦合地区で断層の前縁部がLU面,LV面を切る可能性のある地区について示した。