(2)桑折北部地域調査結果

北部で3条に別れる断層線がこの地域から桑折町南部にかけては1ないし2条となる。この区間の断層線は、丘陵地と低位段丘面の境界となっていることが多い。、また下部の中新世の地層は断層に接近する場所では梨平層が急傾斜を示す(Iw26)。梨平層の急傾斜は産ヶ沢沿いでは断層沿いを含めて2箇所で確認され東に向かう緩やかな傾斜が南から東に60°を超す傾斜をもっており南北に連続すると考えられる。また、Iw28では南北方向の断層面が確認されたが、この上位に連続するLU面には変位は見られず更新世後期の活動は確認されない。

渡辺(1986)に示された断層露頭のうち、現在では右岸の露頭は護岸工事によって観察することができず、左岸の段丘礫層のみが観察されるが礫層中に挟まれる粗粒砂層には大きな高度差が確認できない。露頭の西側ではこの砂層の連続が確認できないことから断層面は、より西側に存在する可能性も考えられる。しかし、産ヶ沢側沿いの段丘面には断層による変位は認められないことからこの断層はこれより南では、1条の断層となっていると判断した。Iw30付近におけるLU面の高度差は渡辺(1985)にも示されるように約15mの高度差が認められる。

桐ヶ窪−万正寺間での断層は丘陵部斜面、丘陵部−LT面、LT面−沖積段丘の境界となっていることと、各段丘面の正確な対比が困難であるために断層活動の累積性について明確な資料は得られないが、空中写真の判読による段丘面対比が正しいとするならば、LU面の高度差は約10m程度である。丘陵地から連続する崖錐性の緩斜面には顕著な段差は確認されない。

半田地域および桐ヶ窪、西谷地付近では断層の活動や地形面の時代を明らかにする可能性のある露頭は見いだされなかったため、空中写真の判読によって示したリニアメントの成因や断層の連続に関する問題点は今後の検討課題として残された。