南部の山地は、吾妻山の第四紀火山岩類によって構成されており、1700〜1900mの標高をもつが断層付近には標高600m前後の山地が南北に連なっており、中新世も分布する。
これに対して北部地域の山地には第四紀火山岩類の分布が認められず。ほとんどが中新世〜鮮新世の火山砕屑岩および凝灰岩の分布域となっており、山地の標高は600〜800m程度である。
地域の水系はすべて阿武隈川水系であるが、南部地域では火山地域で放射状に流下した河川が盆地内ではいずれもほぼ東西方向の流路となり、盆地の東縁部で阿武隈川に合流する。北部地域では水系の規模が小さくなり盆地の中央部で阿武隈川に合流している(図2−1)。
福島盆地周辺の地域には図2−2に示すように中新世〜鮮新世の火山岩類および凝灰岩・堆積岩が広く分布している。地域の北西部および東部には先第三紀の花崗岩類が分布している。盆地内には第四紀の堆積物が広く分布しているが、表層部においては南部地域では更新世後期〜完新世の堆積物が優勢であるのに対し、北部では断片的ではあるが更新世中期の堆積物も分布する。
これらの地層は、先第三紀の花崗岩類を除いて下位から中新世の十綱橋層、梨平層、天王寺層、鮮新世の赤川層に区分される。また、更新世前期の地層として盆地内には高田層が見られるが、分布域は極めて断片的である。更新世中期〜完新世の堆積物について本調査では、高位段丘堆積物、中位段丘堆積物、低位段丘堆積物T〜V、沖積段丘堆積物T〜Uおよび沖積地堆積物に区分した(表2−1)。調査地の地質構造は第四紀における西上がりの逆断層によって代表され、山地と盆地の分離この活動によって起こったものと考えられるが、中新世〜鮮新世の堆積物が示す構造はこれとは異なり、北西部山地では鮮新世の赤川層分布域を中心とした緩やかな傾斜の盆地構造が認められる。また、盆地の東側および西部には先第三紀の花崗岩類が分布し、中新世の地層とは断層によって接しているとされるが、活断層のもつ連続性はこの構造とは一致しない。福島盆地西縁断層帯はは活断層研究会(1991)によって8つに区分されている。(図2−3、表2−2)