7−9 三津合地区の調査結果(精査地区)

本地区は,新編「日本の活断層」(1991)による千咲原断層の北端部に位置し(図7−1),断層は確実度Tとされている。

本地区の空中写真判読図を図7−9−1に,地質図を図7−9−2に,地質断面図を図7−9−3に示す。

空中写真判読結果によると,山都町三津合付近に広く分布する沼沢火砕流二次堆積面上に,ぼぼ N−S方向の低崖が直線的に連続しており,LBリニアメントとして判読される(図7−9−1)。この低崖の比高は7m程度で,東側が低い。

地表地質調査結果によると,リニアメントの周辺では七折坂層が直立しているが,七折坂層の層理面の走向はリニアメントの方向とかなり斜交している(図7−9−2図7−9−3)。

リニアメントの直下においても,七折坂層は直立しており,同位置に段丘礫層に東落ちの変位を与える高角度の逆断層が確認された(図7−9−4図7−9−5)。礫層基底面での変位量は断層面沿いで鉛直約4mである。この段丘礫層の年代は不明であるが,近傍の芝原テフラ(約11万年前)を載せる中位段丘礫層よりも,基底面がやや低いことから,8万年前程度と推定される。

このことから,リニアメントは断層による変位地形であることはほぼ確実と思われるが,段丘堆積物上部での変位状況が確認できない,特に沼沢火砕流の二次堆積物との関係が不明であるため,新しい時代の活動性については不明である。

なお,この断層露頭の東側では,段丘礫層の基底面はさらに 20m程度低くなり,これを覆って,沼沢火砕流の二次堆積物が厚く堆積している(図7−9−5)。この沼沢火砕流の二次堆積物に覆われる段丘礫層は,上記の断層露頭にみられる礫層よりも,かなり新しい堆積物と推定される。