本地点の堆積物を層相、堆積構造、14C年代及びテフラ分析に基き、上位よりT層〜Y層に区分した。Y層は礫と腐植質シルトの互層で、Nm−KN(沼沢−金山テフラ、50〜55ka層位:鈴木・早田、1994)を狭在する。X層は、主に腐植質シルトからなり、14C年代は約18000y.B.P〜約13400y.B.Pである。W層は、腐植質シルト〜砂層を含む礫層を主とし、14C年代は約12000y.B.P〜約9800y.B.Pである。V層は、東側では、腐植層を狭在する礫層からなり、西側では褐色のややローム質な砂質シルトからなる。本層の14C年代は約9200y.B.P〜約7000y.B.Pである。U層及びT層は主に礫層からなり、U層の14C年代は約7000y.B.Pで、T層の14C年代は約7000y.B.P〜約4000y.B.Pである。U層以下の地層に撓曲変形が認められ、下位層ほど撓曲変位量が大きい。
X層では、東方低下側で層厚が厚くなることと、東方低下側でも層理面がやや傾斜しているのに対し、W層はこれを不整合で覆う。このことからX層堆積後、W層堆積前の活動が推定される。
W層は、西方隆起側と東方低下側とで、層厚に有為な差はなく、W層上面での鉛直変位量は約8mである。
V層の層厚は、西方隆起側で1m以下、東方低下側で約3mを示し、撓曲崖の両側で層厚に有為な差が認められる。東方低下側では、主に礫層からなるのに対して、西方隆起側では、ローム質な砂質シルトからなる。これらのことから、W層堆積後、V層堆積前の活動が推定される。また、V層は、西方隆起側ではローム質な砂質シルトからなることから、この活動により離水したものと考えられる。
U層については、平成12年度の調査結果で述べた通り、V層の撓曲部にアバットする形態を示すことから、V層堆積以降、U層堆積前の約7000y.B.Pに撓曲変形があったことが推定される。