平成11年度に実施した地表踏査結果によると、下部更新統の七折坂層の急傾斜帯の分布から、断層は大川の出口から約200m上流側の沖積層分布域に推定されたものの、この沖積面上に断層変位を示唆する高度差は認められなかった。
平成12年度調査においては、会津地震と本断層帯との関係を明らかにすることを目的に、大川右岸の沖積面上でボーリング調査を行った(図3−11)。 その結果によると、沖積面下約3m付近に約400y.B.P〜約500y.B.Pの14C年代を示す湖成堆積物が断層を横断して分布しており、少なくとも断層の位置から約350m西方下流側までほぼ水平であることが確認された(図3−12)。 ただし、この堆積物基底面は約300m間でなだらかに東方に低下している。 以上のように、会津地震時においては、塞き止め湖が生じたことを示す堆積物が確認できたが、この堆積物基底面の高度差は、調査した範囲内では小さいものであった。 このことから、地震時には、地表変位がなかったか、あったとしても小さいものであったか、あるいは、さらに広い範囲で変形が生じたことが考えられた。