5−3−2 調査結果

本地点で予察的に行ったボーリング調査結果によると,地表面下,深度約4m〜約5mまで主に土壌層からなる細粒堆積物が分布していることがことが確認された。この細粒堆積物を削り込んで粗粒堆積物がチャネル状に挟在すれば,明瞭な横ずれ変位基準となることから,本地点において,断層の推定位置の両側で,断層に平行に約3.5m〜約2m間隔でそれぞれ5孔,計10孔のボーリングを実施した(図5−10)。ボーリング掘削の総延長は 65.0mである。

ボーリング調査結果を図5−11に,ボーリングのコア写真を図5−12に示す。

いずれのボーリングにおいても,基盤を覆って層厚が数mの礫層及びその上位に厚い細粒堆積物が分布している。細粒堆積物中には, 数層の黒色土壌が挟在しており, その14C年代測定結果によると, 約2800y.B.P.〜約5000y.B.P.の値を示す。

断層推定位置の両側で基盤の上面及び礫層の上面は鉛直1m〜1.5m程度の東落ちの断層変位が推定され, その上部の細粒堆積物中でも, 黒色土壌の分布高度から断層による変位が推定される。

礫層の上位の細粒堆積物中には,層厚が20cm程度以下の細礫層が数層挟在しているものの,いずれの細礫層も細粒堆積物中に薄くレンズ状に分布しており,上下の土壌層との境界も不明瞭である。したがって,これらの細礫層は土壌層を整合に覆って堆積しており,細粒堆積物中にこれを削り込むチャネル状の堆積物は認められない。