4−3−3 成果
本地点におけるL1面堆積物の鉛直変位量は約6mであることが明らかとなり,同面の形成年代は,直接的データは得られなかったが,L1'面との比高等から8万年前程度と推定された。したがって,仮にL1 面の形成年代を8万年前とすると,本地点における双葉断層の鉛直方向の平均変位速度は0.075m/103年と算出される。この値は,前述の栃窪南トレンチ及び栃窪Aトレンチにおける調査により明らかとなった活動周期約7500年〜約 10000年及び鉛直方向の単位変位量約0.5m〜約0.65m から求められる鉛直方向の平均変位速度 0.05m/103年〜0.087m/103年とほぼ整合的である。このことから, 栃窪地区では, 双葉断層は少なくとも鉛直方向については, ほぼ等速度で変位しているものと考えられる。