4−3−2 ボーリング調査結果

本地点では,図4−18に示すように,L1面上で低崖を挟んで5孔並びに低崖西側のL1'面上で1孔の計6孔,総延長約 44.5mのボーリングを実施した。また,L1 面で実施した ToH−1孔, ToH−2.5孔及びL1'面で実施した ToH−5孔について, 示標火山灰の検出を目的として, ボーリング・コアからローム層の連続サンプルを5cm間隔で採取し, ガラス・鉱物組成分析を行った。

ボーリング調査結果を図4−19に,コアの写真を図4−20示す。

低崖を挟みL1 面上で実施した5孔のうち,西側の ToH−1孔及び ToH−2孔では塩手層が,東側の ToH−2.5孔, ToH−3孔及び ToH−4孔では相馬中村層群が確認されたことから, ToH−2孔と ToH−2.5孔との間に断層が存在する。断層の両側では,いずれも基盤を覆って,礫の多くが風化した礫層が分布しており,この風化礫層の基底面及び上面の高度は ToH−2孔と ToH−2.5孔との間でいずれも鉛直約6m東落ちの不連続が認められ,断層による変位と判断される。また, ToH−2.5孔には断層崖を埋めるように,風化礫層の上位に不淘汰な細粒堆積物が厚く堆積しており,これを覆うローム層中部から大山倉吉軽石層(約5万年前)が検出される(図4−19)。

一方,L1'面上で実施した THb−5孔では,塩手層を覆って礫層及び礫混じりシルト層からなるL1'面堆積物か分布する(図4−19)。この堆積物を覆うローム層の下部から大山倉吉軽石層(約5万年前)が検出されることから,L1'面の形成年代は約5万年前〜約6万年前と判断される。このL1'面堆積物の基底面及び上面は,L1 面堆積物のそれらよりもいずれも約8m〜約9m低位にある。また,L1'面堆積物中の礫は比較的新鮮であるが,L1 面堆積物中の礫の多くが風化している。これらのことから,L1 面の形成年代は,L1'面よりもかなり古く,8万年前程度と推定される。