(2)イベントU:Uk1層堆積後/Uk2層堆積前

本イベントは,北側法面では明瞭ではないが,南側法面において,いずれの断層もUk1層以下の地層とUk2層以上の地層とで鉛直変位量に不連続が認められること,Uk2層基底面を境に上下の地層の構造差が顕著であることから認定され,その時期はUk1層堆積後,Uk2層堆積前である。Uk1層の14C年代は 11770±130y.B.P.の値を示し,Uk2層直上のUu層の14C年代は9520±50y.B.P.〜10540±50y.B.P.の値を示すことから,本イベントの発生時期は,約 12000y.B.P.以降で, 約9500y.B.P.以前,となる。Uk2層からX層基底までの地層内に断層活動を示唆する構造が認められないことから,このイベントが,本地点における双葉断層の最新活動の一回前の活動にあたる。ただし,このイベントは本トレンチのみで確認されていることから, このイベントを確実にするため,今後,他地点においてもさらに最新活動の一回前の活動時期を明らかにする必要があろう。

なお,平成8年度に調査を実施した栃窪北のピットTN−1及びTN−2において,いずれも確実性に乏しいものの,最新活動以前の活動として,約3000y.B.P.以前で約7200y.B.P.以降における活動と,約8300y.B.P.以前の活動の二つの断層活動の可能性が推定された(図3−9)。しかし,前者については,本トレンチにおいて,最新活動から約9500y.B.P.にかけての活動が認められないことから,その可能性は低く,後者については,その年代からみて本トレンチで確認されたイベントUに対比される可能性がある。