さらに,平成8年度に双葉断層の北部区間で実施したピット調査結果によると,鹿島町栃窪における双葉断層の最新活動時期は,約3000y.B.P.以降であることが確認され,そのうち,約2200y.B.P.以降で,約1900y.B.P.以前である可能性が高いことが明らかとなった。同地点における最新活動以前の活動時期については,約3000y.B.P.から約7200y.B.P.にかけて間における活動と,約8300y.B.P.以前における活動の二つの断層活動の可能性が推定された。しかし,これらの二つ断層活動については,いずれも,その活動を示す直接的なデータは得られておらず,確実なものとは言えない。
以上のように,平成8年度調査により,双葉断層の活動区間及び最新活動時期が概ね明らかとなった。今後の課題として,@最新活動時期の確実性及び年代精度を向上させること,A最新活動の一回前ないし二回前の活動時期を特定すること,B横ずれ量を含めた単位変位量及び平均変位速度を明らかにすることなどがあげられる。