その結果,西側のYgN−1孔〜YgN−3孔では花崗岩類が分布し,東側のYgN−4孔では古第三系の石城層が,YgN−5孔には鮮新統の富岡層が確認されたことから,YgN−3孔とYgN−4孔との間あるいはYgN−4孔とYgN−5孔との間に,いずれも西上がりの断層が推定される(図5−19)。YgN−4孔では古第三系内に断層が確認され,追加して実施したYgN−6孔では西上盤側の花崗岩と東下盤側の古第三系を境する断層が,YgN−7孔では西上盤側の古第三系と東下盤側の鮮新統の富岡層を境する断層が確認された(図5−19)。
これらの各ボーリング孔において,基盤を覆うM2 面堆積物の基底面及び堆積物には有為な高度差はなく,断層による変位は認められない(図5−19)。
また,M2面堆積物を覆って1.5m程度のローム層が認められることから,ローム層から5cm間隔で連続試料を採取して,火山灰分析を行った結果,ローム層の中部から大山倉吉テフラ(約5万年前)及び沼沢・金山テフラ(約5万年前〜約 5.5万年前)が検出されたが(図5−20),安達太良岳テフラ(約12万年前)は検出されない。これらのことから,M2面堆積物の堆積年代は約8万年前と判断される。