4-2-1 調査地点の概要と調査の目的

平成9年度調査においては,栃窪南地点においてトレンチ調査を実施した(図4-1図4-10)。その結果,最新及びその一回前の2回の断層活動が確認され,この2回分の累積変位量は, 鉛直方向が1.0m~1.3mであることが明らかとなっている(図4-11)。本トレンチでは,基盤岩を覆って下位よりⅠ層~Ⅴ層までの堆積物が分布し,このうち,Ⅰ層及びⅡ層の下部(Ⅱl層・Ⅱk1層)が上記2回の変位を受けている。

Ⅰ層は,その層相から真野川本流の堆積物であり,本トレンチの南側 10m付近で基盤にアバットしてるものと推定できることから(図4-11),Ⅰ層の南縁等を変位基準として横ずれ量を求めることが可能である。

本地点では,Ⅰ層の上位にⅡ層以上の堆積物が7m程度分布することから,いⅠ層の平面的な分布状況をトレンチ調査により確認することは困難であるものの,Ⅰ層とⅡ層以上の堆積物とは層相が明らかに異なることから,ボーリング調査によりⅠ層とⅡ層以上の堆積物との識別は比較的容易であると考えられる。

これらのことから,平成9年度に掘削した栃窪南トレンチの南側において,Ⅰ層の分布状況を確認して,最新及びその一回前の2回分の断層活動による累積横ずれ量を求めることを目的にグリッド・ボーリングを実施した。