3−3−5 栃窪原田地点におけるボーリング調査結果

栃窪原田地点においては,M面上に比高が4m程度の東側低下の低断層崖が認められる(図3−3図3−16)。このことから,本地点では双葉断層の東落ちの変位が累積しているものと考えられ,その平均変位速度を明らかにすることを目的に,この低崖を挟んで計6孔のオールコアボーリングを実施した(図3−16)。ボーリング調査結果を図3−20に示す。

面構成層の高度には,西側のToH−2孔と東側のToH−2.5孔との間で鉛直約6mの東側低下の不連続が認められ,この高度差は,その位置が上記の低断層崖と一致しており,断層による変位と判断される。

断層低下側のToH−2.5孔では,断層崖を埋めてM2面構成層の上位に細粒堆積物が厚く堆積し,これを覆うローム層下部から大山倉吉テフラ(約5万年前)が検出された。このことから,M面構成層の堆積年代は,同テフラ降下期よりも古く,8万年前程度と推定される。

面構成層の堆積年代を8万年前とし,同層の鉛直変位量約6mから,本地点における双葉断層の鉛直方向の平均変位速度は約0.075m/10年と算出される。