平成8年度実施の森山地区トレンチでは、断層の面沿いのずれ量が1.5〜3.3mであり基盤岩と段丘堆積物が接する断層面の傾斜が30度であったことから、1回の活動による垂直変位量を最大1.6m程度とすると、この段丘を形成する砂礫層の堆積時期が7,000〜9,500年前であることから、段丘面形成後の断層活動は3回(1.6m×3=4.8m)程度起った可能性が高い。ただし、1回の変位量1.6mはトレンチで観察された断層面沿いのずれ量のみであり、地層の変形に伴う高度差の発生があるとするならばこの高度差が2回の断層活動によって生じる可能性もある。
仮に段丘面形成時期を9,500年前とし、断層の最終活動を1,800年前とした場合2回の活動の間隔は最大で7,700年となり、3回の活動では最大3,850間隔となる。活動間隔が7,700年程度とした場合、南部地域で明らかにされた断層活動と同程度の活動間隔となり、最終活動の時期も誤差の範囲に入ることから、福島盆地西縁断層帯が少なくとも30km以上にわたって同時に活動した可能性が高いといえる。
これに対して、活動間隔が3,850年程度とした場合には、南部地域とは活動時期が異なる時期にこの断層(少なくとも藤田東断層)が、活動したことを示すものであり、最終活動時期は接近した時代に起ったものの、断層活動自体は独立したものである可能性が考えられる。