(2)大笹生No.6孔

No.6孔では深度0.00〜0.25mは黒色〜黒褐色の表土となっており、深度0.25〜3.72mは黄褐色〜暗褐色シルト層でやや大きな径の円礫が点在し、深度1.44〜1.65m付近,2.00〜2.10mおよび2.40m付近には腐植質シルトを挟む。

深度3.72〜5.00mは細〜中礫層で上部には角礫を多く含む。深度5.00〜6.37mには一部礫混じりシルト〜細粒砂層、深度6.37〜6.77mに腐植質シルトを含む黄褐色〜褐色シルト層、深度6.77〜7.46mには部分的に礫混じりのシルト〜細粒砂が見られる。深度7.46〜15.00mは巨礫を含む礫層となっているが、深度11.45〜11.55mには褐色のローム層が挟まれる。

深度1.5〜1.6m,2.0〜2.1m,2.4〜2.5m,6.4〜6.5mにある腐植質層の14C年代測定を行った。深度1.5〜1.6mで3,490±100y.B.P.,深度2.0〜2.1mでは8,870±50y.B.P.,深度2.4〜2.5mでは6,750±50y.B.P.,深度6.4〜6.5mでは15,700±90y.B.P.の年代値が得られた。

以上の年代値から深度1.6〜2.5m間はトレンチにおけるJ層に対比され、深度6.5m以下の砂礫層はQ層に対比される。また、深度2.5〜6.5mの間はK〜P層に対比されると考えられる。図3−2−7にはトレンチ東側法面とボーリング調査によって明らかとなった地質断面図を示した。

ここで、対比される地層の高度差は4.5〜4.8mである。しかし、同様の地層対比からトレンチ北側法面からNo.5孔の間には、M,N層の大きな変形を読み取ることができる。この変形は西側法面で見られたM層の変形に類似し、断層面が40度程度の傾斜から低角に屈曲する付近の上面で上方に大きく変形していることを示している。

このことから、トレンチの北側法面と断層下盤に見られるM,N層の高度差最大7.0mは断層前面の変形によって見掛け上生じたものであり、この地点における断層の垂直変位量は約15,000年前以降4.5〜4.8mとすることができる。