・万正寺地区では、桑折断層の更新世後期の活動範囲は当初予測よりやや西側(10〜20m)で地表付近に達すると判断された。
・大笹生地区では空中写真判読などで想定された断層崖に地層の大きな不連続が見られる。この不連続が断層による可能性は高く、断層の活動が4,000年前以降に起こったことも考えられる。
・庭坂地区のボーリング調査から、実施したボーリング孔の最も南側のものには基盤岩が繰り返し出現し、年代値の分布からも上下の逆転が存在することが明らかとなった。したがって、この前面部で断層が地表近くに達している可能性が高い。
・東湯野地区では、空中写真判読で撓曲崖の可能性が高いと判断された地形が断層活動による変位地形であることがほぼ確実となった。従って桑折断層の連続は更新世後期に限れば西に向かう連続をもつものではなく、南に連続すると判断される。
ここでの変位は断層による地層の食い違いを伴う可能性は少ないが、高度差を発生させた断層活動は、約15,000年間に5mの高度差を発生させたことになる。この変位量は約0.3m/1,000年となり、従来知られる桑折断層の変位量に比べると小さい。