(1)福岡市中央区荒津地区海岸−同区西鉄平尾駅付近〔文献Eの「警固断層」部〕

この地域については、文献Gで既往のボーリング資料をもとに、地下に伏在する断層の位置が認定されている。今回の調査ではこの結果に、独自に収集したボーリング資料を加え、第四系の下位に分布する第三系や花崗岩類の上限面深度が西側から東側へ急激に深くなる点を結んで、断層位置を認定した。用いたボーリングデータにかなり疎密があるため、大まかな傾向のみ捉えられているが、今回認定した断層位置は、文献Gで示された位置とほぼ同じである。

また、この地域で実施した重力探査によっても、想定される断層位置を南西壁とするグラーベン状の凹地の存在が示されており、物性的にみてもこの断層位置が推定できる。また、重力基盤についてのモデル計算結果から見ると、逆断層として存在している可能性が高い※1。この地域に含まれる福岡市中央区香正寺地内で、地下地質データから推定した断層位置を挟んで、ボーリング調査を実施したところ、博多湾シルト層(6,000〜3,000年BP)、特にその中の最大海進を示す層準(5,000年BP頃に形成)には変位が認められなかった。