(2)まとめ

前述した大佐野地区トレンチでの断層の上下方向の変位量が 数10p/30,000年であることから見て、90,000年BP頃に形成された阿蘇−4火砕流堆積物は、警固断層の活動によって、ボーリング調査で確認できる程度の変位は受けているものと期待される。しかしながら、一部に何らかの地盤変動を示唆する現象は認められたが、低断層崖と思われた低崖直下を含め、基盤や阿蘇−4火砕流堆積物を明瞭に上下方向に変位させている断層は認められなかった。

文献@のデータを見ると、県道を挟んだ調査地西方25m付近のボーリングでは、基盤の上面の高さが標高4m付近まで上がっている。この点から見ると、主断層は、bS孔とこの地点の間(低崖より西側)を通っている可能性が高いと思われる。当初想定したリニアメント付近は仮に存在したとしても、上下変位量数10p以下の副次的な断層と思われる※。

※ 航空写真で判読した直線状の低崖の成因を前節で述べた上古賀地区と同様に、(自然崖+人工改変)で考えると、何らかの低崖が存在したと考えたい。