3−5−5 平均変位速度

文献@、Aでは、低位扇状地面の時代を20,000年BPとして、この面上の断層崖の比高から断層の平均変位速度を8〜100p/1,000年(データは10〜30p/1,000年に集中)と算出している。しかしながら、今回の調査や文献D、Eで低位扇状地面上にAT火山灰が分布していることが確認されており、これを考慮すると本地域においても低位面の時代は、西山断層系や警固断層系の解析で用いた30,000年BPをあてる方がよいと思われる。この年代値を用いて平均変位速度を求めると、5〜70p/1,000年(値は概ね8〜20p/1,000年に集中)となる。

また、文献FではAso−4堆積後の平均変位速度を15p/1,000年としており、文献D、E中の図から読み取ったAT火山灰以降の平均変位速度は5p/1,000年となる。

一方、今回調査で得られた変位量のデータ(表3−5−2)から断層の平均変位速度を求めると、表3−5−3のようになる。

表3−5−3  断層の平均変位速度

このうち、年代的に最も信頼性の高いAT火山灰の変位量から見ると、ボーリング調査の精度を考慮して、平均変位速度は約20p/1,000年と評価できる。

従来から水縄断層系は活動度B級とされてきているが、今回の検討でも同様の評価となる。他の値にはこれよりかなり小さいものもあり、ばらつきが大きいが、20p/1,000年という値は、概ね中間的な値となっており、評価としては妥当と思われる。