この地層はトレンチスケッチ図に示したように、北側(平地側)へ緩く傾斜しており、これを1層堆積後の断層活動を反映したものとみる可能性も完全には否定できないが、確証はない。礫質の層相からみて、扇状地形成時のフォアセット構造とみてもよいと思われる。一方、断層を覆う12世紀の遺物を含む盛土層は変形を受けておらず、少なくとも12世紀以降の断層活動はないといえる。よって、西暦679年の地震が最新のものと考えて矛盾はない。
一方、断層系の東部については、西暦679年の地震で活動した証拠は得られていない。また、周辺の考古遺跡でも、この地震の痕跡は確実には検出されていない。この点は、さらに検討を要する課題である。