3−5−3 断層の活動イベント

久留米市宮園地区のボーリング結果から、AT火山灰堆積以降に少なくとも1回の断層活動があったことが推定される。

文献D、Eでは図3−5−1に示したように、AT火山灰堆積前に1回、堆積後に3回の断層活動のイベントが認定されており、特に最後の1回は、歴史記録(「日本書紀」)のある西暦679年の筑紫国地震にあたるとされている。

この他にも、宮園地区の調査結果から断層を挟んだ地層の層厚変化を読み取ると、AT火山灰以前の次の時代に断層活動があった可能性が考えられる。

@ 第7層 堆積前

A 第6層 堆積前  (250,000年?BP以前)

ただし、時代・変位量共に不確実なため、特にイベントとは認定していない。

なお、文献D、Eのスケッチ図に示されたAT火山灰層の総変位量(1.0〜1.2m※)から1回のイベントでの変位一方、下記の松田の式@、Aを用いると、断層の長さから1回の地震活動で生じる変位量が推定できる。

logD=0.6M−4.0−−−−− @

logL=0.6M−2.9−−−−− A

D:地震時の変位量(m)

L:地震断層の長さ(q)

M:地震のマグニチュード(q)

ここでLとして前述の26qを採用すると、D≒2.1m(M=7.2)が得られる。

この両者の値を比較すると、トレンチでの変位量はかなり小さい。これについては、文献A、Bに示唆されているように、断層西部では変位量が小さくなっている可能性があるが、確証はない(文献Fでは、そのような結果にはなっていない)。

図3−5−1  文献D、Eに示された断層の活動イベント