(2)久留米市東部〜山本町耳納

文献A、Bに示された追分、柳坂、高椋、宮園、東泉T・Uお各断層に相当すると判断されるリニアメント(低位扇状地面上の比高2m以下の低断層崖と見られる崖、尾根筋のコル鞍部の連続)が断続的に確認されれる。文献A、Bでは、最も明瞭な山麓のリニアメントの部分に断層を想定しており、今回の検討でも同様に判断した。走向はN60W〜E−Wである。

しかしながら、山麓から数10m〜数100mはなれた山地前線の低位扇状地面上にも、一部に段差を伴うリニアメントが判読できる。宮園付近での物理探査(重力探査、CSMT)※や既存のボーリングの資料では、基盤に大きい変位を与えている断層は、むしろ山麓より前の位置にあることが示されていることから見て、このような平地側のリニアメントにも意味があると判断し、付図の地形区分図にも表現した。この地域内では追分断層上の山川前田遺跡で明瞭な逆断層が検出されており、西暦679年の筑紫国地震でこの断層が活動したことが確認された(文献D、E)。今回の調査でも、宮園地区で断層崖と判定される山麓低崖の延長部の低位扇状地面上で、トレンチ、ボーリング等を行い、活断層を確認した。