(5)14C年代測定結果

トレンチ内の2,5A、5Bの各層中から産出した炭化木片について14C年代を測定した。試料採取位置及び測定結果を図3−4−2−6及び表3−4−2−2に示す。

各地層の年代は次の通りで、層位関係とも概ねあっている。

・2 層 : 1,400年BP

・5 層 : 1,500〜1,800年BP

この結果から見ると、西暦679年(1,300年BP)の地震時の断層活動がこの付近にもあったとすると、少なくとも2層以深の地層には変形を与えている可能性があるが、本トレンチで見る限り、確実に断層運動を示す地層の変形は確認されていない。

表3−4−2−2  14C年代測定結果一覧表

2). ま と め

A、B両地点の調査では、活断層ないし確実に活断層の活動によると思われる現象を検出することはできなかった。このことについては次のような可能性が考えられる。

@ この地域に活断層は存在しない。

A 今回調査したリニアメントとは別の位置に活断層が存在する。

地形的に抽出されるリニアメントの明瞭さや2章で述べた物理探査結果から見ると@の可能性は考えにくい。

Aについては可能性があるが、今回の調査範囲では具体的にさらに活断層の可能性の高い地点としては選定できない。

もうひとつの可能性として、活断層としては存在しているが、今回の調査精

度では検出できなかったことも考えられる。すなわち、詳細に見ればbP孔付近の7層については断層活動の影響を受けている可能性が残っている。この地層がここで推定したように新期扇状地礫層に相当するとしたら、活断層ということになる。さらに6層以浅が変形していないことから見て、この断層は西暦679年の地震では活動していないことになり、文献D、Eに示された追分断層とは別の活動履歴を持つと考えざるを得なくなろう。現段階では、この推定についての具体的な証拠はないが、可能性としては否定できないと思われる。