(7)火山灰分析結果
トレンチ内の2B及び6層、ボーリングbS孔の赤色風化土層を対象として火山ガラスの検出を試みた。結果を表3−4−1−3に示す。その結果、bS孔の赤色風化土層中には、火山ガラスは殆ど検出されなかったが、トレンチの第6層最上部及び2B層には若干の火山ガラスの含有が見られた。このうち、地質解析上重要と判断した6層の試料について、ガラスの成分・屈折率を測定した。結果を表3−4−1−4に示す。これによると6層上部中の火山ガラスは、AT火山灰に似た屈折率を示すが、層位関係から見るとAT火山灰とは考えられない。これより古く同様の屈折率を示す火山灰としては阿多−鳥浜火山灰(AT−Th)(230,000〜250,000年BP)がある。6A層上部の火山ガラスにはこの火山灰に同定される可能性があるが、検出されたガラスの量が少なく、確実にはいいきれない。よって、ここでは可能性としてAT−Thへの対比を考慮しておく。このように判断した場合、前出の14C年代値は若すぎることになってしまうが、試料の状況からみて、6A層が後生的な汚染をこうむって年代値が若返っている可能性があると思われる。