本地区は、文献@〜Cによる宮園断層(久留米市山川町放光寺〜同市山本町専納)東端部に相当し、山本小学校の東約250mの地点に位置する。空中写真判読によると、三郡変成岩を基盤とする山地と山麓に発達した低位扇状地の境界付近に、扇状地面を変位させる低断層崖が断続的に判読される。詳細に見ると、本地区の低位扇状地面は比高1m以下の4つの面(高い方から順にL1〜L4)に区分できる。いずれも南側の山地から北方の平地へ向かって流下する川に沿って形成されており、河川系によって分布が制約されているが、本地区程度の範囲内では概ね対比が可能である。このうちL1面は、@山本小学校西方の谷川と、Aトレンチ西方の谷川からもたらされた堆積物からなると推定される。同様にL2面は、@の谷川から、L3、L4面はA及びBトレンチ東方の谷川からもたらされた堆積物の堆積面と推定される。これらの面を横断して現河川が流下しており、川沿いに沖積面が形成されている。この区分を踏まえ、各々の扇状地末端部に形成される段差地形と、低位扇状地面の各々の面を変位させている低断層崖との識別を行った。その結果、比高0.5〜3mの低崖からなるリニアメントが20〜50m幅の中に2〜3条認められた。
ただし、個々のリニアメントの延長は300m以下と短い。
以上の調査結果を基に、7世紀の地震断層(文献D、E)としての認識に基づき、現地踏査によって沖積面上にも認定できる低断層崖を抽出した結果、図3−4−1に示す2地点でトレンチを掘削することとした。