3−2−3 地質調査結果

水縄山地の地質は、主として三郡変成岩に属する筑後変成岩類からなり、変成岩とそれに貫入する蛇紋岩及び早良−嘉穂花崗岩類相当の白亜紀末の花崗岩類からなる。山地東部は中新統の宇佐層群、下部更新統の筑紫熔岩などの火山噴出物に覆われる。山地西方には下部更新統の久留米層が分布し、丘陵を形成している。これらの地層は調査地南部の丘陵や山地を形成するとともに、調査地北部の筑後平野の地下では表層の第四系の基盤となっている。

調査地付近の第四系は全域を通じて前述の低位・中位・高位の扇状地面及びそれぞれに対応する段丘面を構成する堆積物(構成地層としてはそれぞれ新期・中期・古期と呼ぶ)と、それより新しい沖積面を構成する堆積物(沖積層)からなる。調査地東方には阿蘇−4火砕流堆積物も分布している。新期・中期・古期の各構成層は前述のような特徴的な火山灰や土壌を伴っているが、地表の露頭観察では大部分が扇状地性の砂礫層である。これらは、調査地全域にわたって見ることができる。新期の堆積物では含まれる礫※は概ね新鮮であるが、中期・古期と古くなるにつれていわゆるクサリ礫が多く含まれるようになる。

前述のリニアメント付近では、これらの第四系を切る断層露頭が数カ所で見られる(位置は付図1参照)。

a.吉井町鷹取南方 懸林道沿いの標高220m付近(写真3−2−3−2)中期扇状地礫層と花崗岩が断層で接する。断層面沿いに礫の長軸が配列しいる。断層の走向・傾斜はN75W84NないしN54W55Nで変位量は15m以上である。

b.a.と同じ林道沿い、標高265m付近の土取り場跡(写真3−2−3−3)中期扇状地礫層(半クサリ)と花崗岩が断層で接する。幅2.5〜3mの破砕帯を伴う。断層の走向・傾斜はN56〜75W、56N〜82Sである。変位量は不明。

     

c.吉井町鷹取の浄水場南方、標高125m付近(写真3−2−3−1)古期ないし中期扇状地礫層相当層(クサリ礫ないし半クサリ礫からなる)と花崗岩が断層で接する。幅0.5mの破砕帯を伴う。断層の走向・傾斜はN55〜65W、70〜76Nである。変位量は不明。

※構成礫は、西部では殆どが変成岩で、東部では花崗岩質のものも混じる。中期・古期についても同様。

d.田主丸町耳納字園西方

文献Bで、この付近に断層露頭の存在が示されている(N45E88N、粘土化した破砕部が幅0.6m)が、今回の調査ではこの露頭は確認できなかった。

この調査結果は、地形調査結果とあわせて付図及び図3−2−2−1に示した。