・1回の変位量:地震の規模と断層系の長さ及び地震時の変位量を関連づけている松田の式@、Aを西山断層系についてあてはめると次のようになる。
logL(q)=0.6M−2.9 −−−−− @
logD(m)=0.6M−4.0 −−−−− A
L:断層系の長さ
D:地震時の変位量
M:地震のマグニチュード
前出のストリップマップから読みとったL=29(q)の値を代入すると、D=2.3(m)となる。これは、実変位量としての値であるので上下方向の1回の変位量は、1.2〜2.3mと計算できる。
前記の中期段丘構成層の変位量と、ここで推定した断層の1回の変位量からみると、この断層系は中期段丘構成層堆積後、現在まで1回しか活動していない可能性が高い。おそらくあんずの里や奴山地区で確認された活動イベントがこの1回に対応するものと考えられる※。この場合には、活動間隔は約 80,000
年以上となる。
一方、式Bに1回の変位量及び前述した上下方向の平均変位速度をあてはめて活動間隔を求めると次のようになる。
R= D/S −−−−−B
R:平均活動間隔(年)
S:平均変位速度(m/1,000年)
D(上下方向の変位量)=1.2〜2.3m、S=1〜2(p/1,000年)だから、
R=60,000〜120,000ないし120,000〜230,000(年)
以上のように、西山断層系の長さ及び平均変位速度から平均活動間隔を算出すると、60,000年〜230,000年となる。
※このように考えた場合、断層による新期段丘堆積層の変位量は中期と同じになる。